地球火星人学の論理的誤謬 (脅威インテリジェンスの教科書/石川朝久)

脅威インテリジェンスの教科書(初版1刷)の中に論理的誤謬を発見したので記録しておく。本書コラムの地球火星人学において著者石川朝久はヘンペルのカラスの代わりに説明する論理的に同一の説明として地球火星人学(出典はおそらく村上陽一郎教授)を提示している。地球火星人学は火星に行けない地球人が火星人が四本足であることを地球上で証明するには四本足でなければ火星人でないことを証明すればよいと説き著者はこれをすべての星を調査しなければならず非現実的であると解説するがここまでに3つもの誤謬を犯している。

  1. 四本足でないものをすべて調査するためには火星の四本足でないもの(火星にいる五本足の火星人は火星を調査しなければ発見できない)も調査しなければならず火星を調査範囲から除外して四本足でなければ火星人でない(火星を含め四本足でない火星人がおらず四本足でない火星人が存在しないことから火星人は四本足でしか存在しえない)ことは証明できないことから火星を調査しないというこの証明の制約を満たすことは不可能であることが証明される。
  2. 火星に行けない代わりの証明方法でありながら火星も調査しなければならないことから他のすべての星を調査する証明コストは論ずるに及ばないものであり他のすべての星の調査をするまでもなく証明方法に誤りがあることを指摘しなければならない。
  3. ヘンペルのカラスは本来の証明対象こそ調査せずともよいが特定範囲外すべてにおいて調査証明すれば特定範囲内においては調査証明せずともよしとする除外範囲を認める論理ではないため非網羅的調査範囲という要素を追加する地球火星人学はそもそもヘンペルのカラスと論理的に全く異なる
  4. 大目に見て数に含めていないがそもそも火星を調査する代わりに他のすべての星を調査しなければならないことを自ら解説した時点で火星に行けない代わりという前提から破綻していることに気づかなければならない。

以上の致命的誤謬があることから読者はこのコラムを正しいと誤解してはならず著者はこのコラムを削除または全面改訂すべきである。